着任の挨拶

令和2年8月4日
在バルセロナ日本国総領事館の総領事として着任しました佐藤靖です。当館の管轄地域であるカタルーニャ州、バレンシア州およびバレアレス州に在住の日本の皆様に、総領事館としてより良いサービスの提供ができるよう努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 
これまで私の在外勤務は中南米が主でしたが、80年代半ばにお隣のアラゴン州サラゴサで約2年間語学研修をして以来のスペイン勤務となります。バルセロナには語学研修時代にも何度か訪れたことがありますが、なんといっても、天皇陛下が皇太子時代の1992年にスペインをご訪問された際に通訳として同行し、大成功といわれたバルセロナ・オリンピックの開会式をこの目で見ることができたことがこの町の一番の思い出です。坂本龍一氏の指揮による演奏、日本選手団の整然とした入場行進、一本の火矢が弧を描いて飛び聖火が点り、最高潮を迎えたことが思い出されます。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は来年に延期となりましたが、私が生まれた東京で2度目のオリンピックを迎えるこの時期にバルセロナに着任したことに不思議な縁を感じます。
 
また、バレンシアには語学研修時代に訪れたことがあります。カテドラルの近くの広場だったと思いますが、かなりの数の鳩がいて、餌を持っていると、体中に鳩がとまりました。バレアレス州には、1994年に天皇皇后両陛下(当時)がスペインをご訪問された際に同行し、フランスのトゥールーズから入った最初の訪問地がパルマ・デ・マヨルカでした。恥ずかしながら、美しい見事なゴシック建築のカテドラルがあることをそれまで知らず、驚きとともに見とれてしまいました。
 
バルセロナ・オリンピックから約30年が経ち、今再び見るこのバルセロナの街並みは、あの頃のなつかしさも感じさせてくれる場所もたくさんありますが、総領事館のあるディアゴナル通りにLRT(トラム)が走り、その景色の中に日本のブランド店が溶け込んでいるのを見ると、私には時を経てまるで生まれ変わった別の都市にも見えます。また、サグラダ・ファミリアの何と大きくなったこと。
 
日本もスペインも新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、そこから新たな日常へと向かうプロセスの最中にあります。冒頭にも述べました通り、管轄の3州に在住の日本の皆様へのサービスの提供が総領事館の業務の一番です。これまでとは異なる新たな生活様式の中でも、新型コロナウイルス感染症に関する情報の提供を始め,皆様にできる限りの良いサービスを提供してまいりたいと存じます。また、そのためにも、日本とカタルーニャ州、バレンシア州、バレアレス州との関係強化に資する様々な活動にも力を入れていきたいと思います。

令和2年7月5日
在バルセロナ日本国総領事
                                                                                                                              佐藤  靖